宮田醤油店・雫石の四季を生かした天然醸造で、味わい深い醤油を生み出す。

3トンの醪が入ったタンクが整然と並ぶ工場の2階。醪はここで約1年熟成されます。/大豆と麦、塩からなる醪をしぼると醤油に。ただし、そのままでは色が薄いので加熱して色味を整えます。色度計を見ながらひとつひとつ手作業で行います。

良い水を求めて雫石へ

 宮田醤油の創業は明治37年。一世紀に渡り、醤油を作り続けてきた老舗醸造元です。ただし、雫石工場の操業は平成9年から。以前は盛岡に醸造蔵をかまえていました。
「盛岡では、北上川のそばで醤油造りを行ってきましたが、都市化が進み、良い醤油を作ることが難しくなってきたんです。何よりも仕込み水が悪くなってきたのが最大の問題でした。醤油の原料は、大豆と麦、塩、そして水です。良い醤油には良い水を欠かすことができません。それで良い水を探した結果、この雫石にたどりついたんです」と語るのは、宮田醤油の代表を務める宮田克明さんです。

宮田さんによると、現在、雫石工場の井戸から湧きだす地下水は、岩手山麓に広がる広大な森に降った雨が長い年月をかけて濾過されたものなのだそう
「そういう意味では、ここの水は、まさに森の恵みとも言うべき水ですね」と笑顔で教えてくれました。

加熱することで醤油に色が付くんだね。色も醤油の味わいのひとつ。大切な作業なんだね。/麹は麹室のなかで約3日間かけて成長を促します。麹の質、強さは、美味しさの鍵を握る重要な部分です。

天然醸造にこだわる

 水の良さにこだわるとともに宮田醤油が大切にしているのが四季の温度変化を活かした伝統的な天然醸造。
大手メーカーの場合、人工的に温度をコントロールすることで、数か月という短期間で醤油を製造するそうですが、宮田醤油では丸1年かけてじっくりと醸造し、育むようにして醤油を作っています。
また、大豆や麦も岩手県産を使うなど、原料にもこだわるのが宮田醤油のポリシー。
「郷土の誇りを伝えるような醤油造りを行いたいですね」と語ってくれました。
「私たちは小さな醤油醸造所。だからこそ、大手にはできないことができるんです」という宮田社長の言葉が心に染みました。/  醤油のことなら何でも相談に乗ってくれる

加熱処理された後にボトル詰めされた醤油。大豆の旨味がたっぷり詰まった醤油が宮田醤油の特徴です。/蔵が立ち並んでいた盛岡時代の宮田醤油。雫石工場でも老舗の味が守られています。